随感随筆 2020年4月6日

日常の風景

 所用があり、こども園に足を運んだ。玄関先から見ているといつものように忙しそうに動き回る先生達がいた。今週の入園式は規模を縮小して予定どおり行われる。

 園に向かう途中、仲良しの小学生だろうか自転車に乗り寒空の下、数人で楽しそうに。すると、こちらも仲良しの中学生だろうか友達と話しながら歩いて来た。そこに突然のにわか雨。たまらず、小・中学生がまるで顔見知りの様に仲良く肩を寄せ合い軒先で雨宿り。

 普段ならどこにでもある風景で見逃すような出来事かもしれない。しかし今日はとても新鮮な場面のように目に飛び込んできた。

 それもそのはず、今日は始業式。地域によっては休校を延長したところもある。その判断はそれぞれ尊重したい。確信したのは児童・生徒にとっては必ずや待ち焦がれた登校日であったに違いないということ。

   7日、東京都はじめ7都府県に緊急事態宣言が発令される。大切なことは医療崩壊を防ぎ命を救うこと、そのために必要な手立ては全て動員すること。並行して生活困窮者を守り、中小企業を守り、雇用を守るための財政出動を惜しまないこと。バブル崩壊後の失われた10年の二の舞とならないように。

 政府は、事業規模108兆円の緊急経済対策を実施すると表明した。個人や中小・小規模事業者向けの給付金に6兆円、事業継続や雇用確保に26兆円。

 詳細はこれからと思うが、注目しているのは雇用調整助成金の特例措置。リーマン・ショックの時にも特例を設けた。4月から6月末までを「緊急対応期間」としている。正社員や非正規を問わず対象にし、雇用の維持を優先した措置となっている。来たるべき経済のV字回復を現実のものにするには雇用のつなぎとめが最大の課題。期間延長も見据えて迅速な対応を期待したい。

 新学期の様子がニュースで流れていた。子どもたちは何事もなかったような無邪気な顔に映った。そう見えたのかもしれない。

 コロナ対策も経済対策もやり方も進め方も一つではない。県民が一丸となって取り組むことが大切だ。そして、その先にある日常の風景を一日も早く取り戻したい。臥薪嘗胆。