随感随筆 2012年5月30日

八幡平熊牧場

21日の県政協議会、その後の地方紙各紙の報道など八幡平熊牧場の話題をよく目にする。動物愛護団体の動きも進んできているようだ。経営者、秋田県、警察、愛護団 体、それぞれに立場も主張もあるだろう。しかし、常に忘れてならないのは熊の世話をしていた何の罪もない従業員二人の尊い命が犠牲になったことである。ご遺族の心中を察して余りあるとはまさにこのこと、ご冥福をお祈りしたい。

 さて、今回の事件の問題点や疑問点を少し整理してみたい。

 まず、法律上はどうあれ、個体の管理台帳も整備されていないのに、頭数すらきちんと把握されていないのに、また、指導後の改善もみられないのになぜ長年にわたって県の許可が下りていたのか。

 さらに、これまでの許可にかかわる記録、経営実態の記録はどういうものが残っているのか、時系列に沿って開示すべきである。

 開場当初は何頭の熊がいたのか。現地に足を運んでみたらいつの時点のものかわからないが、敷地内には「本州最大60数頭の大迫力!!」と表示された看板も残っている。現在は27頭。減った原因(理由)や処分方法は適切に行われていたものなのか。

 もちろん、現在、警察当局が捜査しているであろう熊の脱走原因についても徹底的な事実解明を期待したい。その事実解明が責任の所在を明確にし、さらに再発防止(熊牧場に限らず)に生かされるはずである。

 では、今後どのような道筋があるのだろうか。いろんな考えはあるだろうが、私は次のように考えている。

 この熊牧場は民間の事業者が運営しているものである。最終的な判断は経営者の判断がまず第一。

 当面の事故防止や安全の確保のために県費を投じることに異論はないが、無期限とはいかない。熊の受入先確保に注力することも当然にして必要と考えるが、もし、受け入れ先がなければ(全部または一部)、最終的には経営者の判断が尊重されるべきである。

 受け入れ先の諾否を早急に見極め、救える熊は救う、救えない熊は安楽死という選択肢もやむを得ないと思う。二人の人命が失われている。一日も早い解明・解決・決断そして再発防止策を講じることが私たちのなすべきことだろう。