
随感随筆 2015年3月24日
人口増加と人口減少
人口減少問題が声高に言われている。それは秋田だけでなく日本の課題でもある。しかし、人口問題は減少という側面だけではなく多面的に、柔軟に、角度を変えてみることも必要だろう。
秋田県の人口は現在103万人。25年後、2040年には70万人に減少するといわれている。
一方で、世界の人口は現在72億人。同じく2040年には88億人に増えるといわれている。さらに、2100年、今世紀末には100億人を突破するといわれている。
つまり、秋田の人口、日本の人口は減り続けるが、世界の人口は私たちの子や孫やひ孫の代までずーっと右肩上がりで増え続けるわけである。そして増える人口の多くはアジア。アジアは日本のご近所さんでもある。ここに着目することが肝要と常々考えている。
昨年、2014年の訪日観光客は過去最高の1,341万人。滞在中の消費額は2兆305億円。秋田県の年間予算が約6千億円ですから県予算の3年分以上を1年間で使い切ったことになる。政府も2020年の東京オリンピックまでには訪日観光客を2,000万人とする目標を掲げている。その多くはアジア、日本のご近所さんが大半を占めることになるだろう。
訪日観光客が増えれば、バスも必要だ。タクシーも必要だ。宿泊施設、旅館やホテルも必要だ。レストランや免税店などの買い物施設の充実も欠かせない。当然、働く人も必要だ。働く場(雇用の場)ができれば若者の県外流出にも歯止めがかかる。所帯もできる。そして子育ても始まる。そこに子育て支援をする。人口が減るからといって必ずしも箱もの不要とはいえない。民間の活力、投資を喚起することが最も必要である。
住民票上の人口は当面減り続けるかもしれない。それを今、否定はしない。しかし、日本は世界の中の日本、アジアの中の日本である。人口の減少面だけに目を向けていると片手落ちになってしまう。経済人口を増やすことによって縮小均衡に歯止めをかける手立てを考えることが大事だと思っている。
秋田には2つの空港がある。秋田港には豪華客船が今年は5回寄港する。内陸を縦貫する内陸線、台湾の平渓線と姉妹提携した由利高原鉄道もある。
増え続ける人口を呼び込み、減り続ける人口に歯止めをかける知恵をこれからも大いに絞っていきたいものである。